心の病には、幼い頃には発症しづらく、大人になってから発症しやすいものがあります。
なぜ大人になってから発症するかというと、幼い時期は精神に柔軟性があるからです。
こんな目に遭うのは自分が悪いからだと思い込んだりするなど、辛いことがあってもそれを直に感じないように回避・防衛することによって、その時期を過ごすことができるからです。
また、辛い目にあったり嫌なことをされても、そのこと自体を理解できなかったりするからです。
そして、成長してくるにつれて、過去に自分が受けた仕打ちや精神的ダメージが何だったのかを理解できるようになると、自分は辛い目にあってきたのだということがはっきりと認識されます。
それに伴って自分への不甲斐なさと相手への怒り・憎しみがわいてきます。
その際には様々な感情とともに「苦しいほどの葛藤」が起こり、その葛藤を処理できなくなって心の病が生じることになります。
人によっては、それらの感情を発現できる「安定かつ安心できる環境(居場所)」に移動している(変わっている)と、そこで発症したりします。
とはいっても突然に発症するのではなくて、その前触れは必ずあります。
それが症状移動(シンドロームシフト)と呼ばれるものでして、たとえば、幼児の頃はアトピーとか爪噛み、あるいは自身に閉じこもるという形で表現していて、それが思春期になると逸脱行動や攻撃性行動に変わり、大人になると明確な心の病に変わってきます。