深層心理学の興味深いところは、「自分でも思ってもみなかったことを実は思っていた」と解るところです。
「恋人がほしいのに恋人ができない」と悩んでいる人が、恋人ができてみると実際には一人でいる方が気楽でいいと感じたり、「友達がほしいのに友達ができない」と悩んでいる人が、友達がたくさんできてみると実際には人にあまり興味がないと感じたり、むしろ一人で好きなことをしていたいと感じたりする。
普段の生活のなかでは、「こうあってほしいい」欲望があり、それが実現しないことに悩んでいるのですが、いざ実現してみると、自分が別の願望ももっていたことに気づいたりします。
それは理想が現実と違っていて失望したということではなくて、欲望が叶ったことはそれはそれとして嬉しいし良いことだから、今後も続いてほしいけれども、そうじゃない願望も別にある。
言い換えれば、欲望は表層の欲望として引き続きあるのだけれども、それは深層での願望ではないということです。