ほとんどの人が心の病の原因を知りたがります。
あるいは探究したがります。
なぜなら原因を知ることができれば治せるかもしれないと考えるからです。
また、本人の精神状態を少しでも納得できるからです。
家庭環境とか精神的ショックとか辛い出来事とか、あるいは脳内物質、遺伝、性格、感受性の強さといったものが挙がってくるかもしれません。
確かにそれは要因の一つでしょう。
しかし原因はそう簡単に決めつけられるものではなく、たくさんの要因が複雑に絡んでいます。
ですから原因を探究すればするほど、次から次へと「これじゃないか、あれじゃないか」という要因が出てきて、結局、全部が原因じゃないかということになりがちですし、じゃあどうしたらいいんだということでよく分からなくなってきます。
ですから原因探しよりも、本人の未来をみていく方が大切です。
本人の話を聴きながら、これからどうしていきたいのかを一緒に考えていくのです。
もちろん、本人あるいは周りの人たちがどうしても原因を知りたいという場合には、専門家は本人の話を聴きながら納得できる原因のいくつかを導き出し説明することはやるべきだと思います。
ただその場合でも、専門家は未来に対する方向性をもっていなければなりません。