デイヴィッド・リンチの作品に『ストレイト・ストーリー』があります。
長年連絡を取っていなかった兄に会うため、トラクターに乗ってひとり旅に出るアルビン・ストレイト爺さんを描いた映画です。
その旅の中で、サイクリングをしている若者と出会い、その若者がアルビン爺さんと対話する場面があります。
アルビンはこう語る。
「若い時は、自分が歳をとるとは思いもしない。」
そして若者が尋ねる。
「歳をとっていいことは?」
するとアルビンはこう答えた。
「目も足も弱っていいことなどありゃせんが、経験は積むからな。歳とともに。実と殻の区別がついてきて、細かいことは気にせんようになる。」
「それじゃ、歳をとって最悪なのは?」と若者。
するとアルビンはこう答えた。
「最悪なのは、若い頃を覚えていることだ。」